システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ

書籍キャッチコピー
「丸投げ」は通用しない。如何に関係者を巻き込み、合意を得るか
著者名
白川 克, 濵本 佳史
出版社名
日本経済新聞出版
価格
2860
ページ数
388
出版年月日
2021/07/22


本書のポイント

  • システムを作るエンジニアではなく、システムを作ってもらう側の視点で知っておくべき、システム構築プロジェクトのポイントがまとまっており、プロジェクト全体を俯瞰して学ぶことができる。
  • 紹介されている様々なポイントがなぜ重要なのか(Why)が事例を通じて丁寧に説明されている。

レビュー

社内にあるシステムが使いにくかったり、あるいは巨額の予算をかけて新しく開発したのに全然使い勝手が良くないシステムというものは少なからぬ数存在する。そういったシステムには、往々にしてシステム開発・導入のプロセスで何かしら要因がある。大きな要因の一つはシステムを作らせる側、つまり非エンジニアが「システムを作らせる技術」を有していないことだ。システム開発・導入プロジェクトはエンジニアだけでやるわけではなく、非エンジニアにも非常に大きな役割がある。一方で、世の中にはエンジニアの役割を説明してくれる書籍はあっても、非エンジニアの役割・すべき行動を体系だってまとめてくれている書籍はほとんどない。

本書では非エンジニアとしてシステム開発・導入プロジェクトに携わる際、つまり「システムを他者に作ってもらう」際に必要な知識・技術がプロジェクトの進行に沿ってまとまっている。

特に本書を特徴づけているのは、多数の実例に基づいて「なぜ(Why)それをした方がいいのか、そういうやり方がダメなのか」を丁寧に説明されている点だ。失敗や成功の実例を通じて、プロジェクトのポイントを学ぶことができる。また、FM(ファンクショナル・マトリックス)など有用なフレームワークも合わせて学ぶことができる。

本書のタイトルは「システムを作らせる技術」であるが、著者らの本当のメッセージは「システムを共にOne Teamで作る技術」であり、作る側・作らせる側の意識を橋渡しする技術を提供することである。自分が作る側・作らせる側のどちらの立場でプロジェクトに参加しても本書で紹介されているフレームワークや落とし穴の知識は役に立つものである。

システム開発・導入に関わる全てのエンジニア、非エンジニアにとってプロジェクトの羅針盤となる一冊だ。

目次

A章 作る前に知っておくべきこと
B章 プロジェクト全体の進め方
C章 ゴール(Why)を明らかにする
D章 現状の棚卸をする
E章 将来像(How)を明らかにする
F章 システム要求(What)を求めるプロセス
G章 機能を洗い出す7つの方法
H章 要求をFMにまとめる
I章 要求の詳細をFSに表現する
J章 優先順位の基準を決める
K章 作る機能を決める
L章 FMがシステム構築を成功に導く
M章 機能以外の要求を定義する
N章 パートナーの1次選定
O章 提案を依頼する
P章 パートナーを決定する
Q章 稼働までに計画を立てる
R章 プロジェクトの投資決裁を得る
S章 課題を先出しする
T章 開発チームの立ち上げ
U章 キーチャート
V章 開発中の関与
W章 データ移行
X章 いよいよ新システムの稼働
Y章 〔補足〕ベンチャーでのシステム構築
Z章 〔補足〕FMをシステム構築以外に応用する

この書籍に興味がある人へのおすすめ


レビューワー

Toru_Hasegawa

関連記事

  1. アフターデジタル2 UXと自由

  2. コンサル一年目が学ぶこと

  3. 実践的データ基盤への処方箋

  4. だから僕たちは組織を変えていける やる気に満ちた「やさしいチーム」の作り方

  5. 仕事ではじめる機械学習

  6. DXの思考法 日本経済復活への最強戦略

  7. データマネジメント知識体系ガイド 第2版 DAMA-DMBOK

  8. ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みを作るAI時代の戦略デザイン

  9. データ分析の教科書 現場で即戦力になるデータサイエンスの勘所