基礎統計学Ⅰ 統計学入門

書籍キャッチコピー
統計"学"の入門書
著者名
松原望、縄田和満、中井検祐
出版社名
東京大学出版会
価格
3080
ページ数
307
出版年月日
1991/07/09


本書のポイント

  • 文科と理科両方の学生のために、統計的なものの考え方の基礎を理論的側面を大切にしながら学ぶことができる入門書。
  • 実例を交えた例題や練習問題を通して、手を動かしながら学べる。
  • 確率変数や確率分布の概念について深く理解できる。

レビュー

統計学の入門書には、理論部分をかみ砕いた表現のものが多く、厳密な証明を省いているものも少なくない。本書はそのような書籍とは一線を画す、統計の"学問"としての入門書である。

本書の特徴は、豊富な実際例を用いつつ図表を多くとり入れており、視覚的にもわかりやすく親しみながら学べるよう配慮されている点である。その内容は、統計学の基礎概念、データの整理(記述統計学)、確率・確率分布の基礎、母集団の初歩である。

第1章から第4章は導入部として、期待値・中央値・最頻値・分散・標準偏差・相関係数といった基本的な統計量について解説されており、ヒストグラムや散布図を正しく解釈する助けとなる。

5章以降は確率変数などの具体的イメージがつかみにくい抽象的な概念が増えて数学的な難易度も高くなるが、特に第6章の確率分布は統計学を考える上で多くの内容に関連するため非常に重要なトピックである。二項分布とベルヌーイ分布の関係性や各種確率分布の期待値・分散を導出する過程で、確率分布の概念を多角的な視点から捉えることができるようになるだろう。また、13章は実務でもよく使う回帰分析について学ぶ。エクセルで回帰分析を利用しているが実際のところ「回帰分析の中身がよく分かっていない」と思っている人などは必見だ。

また、概念を学んだあと実際に問題を解くことで理解を深めた経験は誰しもあると想像する。本書では公式の証明に留まらず、そのもっともらしさを実感するために現実のデータを代入して「腑に落とす」練習問題も豊富に用意されており、概念理解から実践まで一気通貫の学びを得ることができる。

なお本書はじっくりと腰を据えて統計学の基礎力固めを行うための本である。大学の講義半年分程度のボリュームがあるため、手早く資格をとりたい、仕事につなげたい人には合わないだろう。また、本書を手に取る前提として、高校数学の微積の知識がなければ通読は難しい。まえがきによれば、文系読者は4章「期待値、分散」、6章「二項分布、ポアソン分布、正規分布、指数分布」はせめて理解した方がよく、7章、8章、10章は初読の折は割愛してもかまわないとされている。

統計学について(理解度はともかく)ひととおり勉強した初学者、統計手法をただ利用するにとどまらず深く理解し武器として活用したいビジネスマン、統計検定2級範囲(確率や検定・区間推定)の対策を万全にしたい受験者に役立つ一冊だ。

目次

第1章 統計学の基礎
第2章 1次元のデータ
第3章 2次元のデータ
第4章 確率
第5章 確率変数
第6章 確率分布
第7章 多次元の確率分布
第8章 大数の法則と中心極限定理
第9章 標本分布
第10章 正規分布からの標本
第11章 推定
第12章 仮説検定
第13章 回帰分析
統計数値表
練習問題の解答

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レビューワー

K.Ohno

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