アフターデジタル2 UXと自由

書籍キャッチコピー
人がその時々で自分らしいUXを選べる時代へ
著者名
藤井保文
出版社名
日経BP
価格
2420
ページ数
236
出版年月日
2020/07/23


本書のポイント

  • DXの本質を様々な先進企業の例を通じて学ぶことができる。
  • DXの誤解や考え方の落とし穴が整理されており、DXのアンチパターンを知ることができる。
  • DXを新たな顧客体験(UX:User Experience)を作ること、という視点からまとめられており、その中でDXの担い手がどんな精神・ケイパビリティを持つべきかを説明している。

レビュー

会社でDX(Digital Transformation)推進担当者になったり、デジタル技術を使った新しいビジネスを考える役割を担うことになった人にとって共通の悩みとして、「何から学んで行けばいいのかわからない」、「そもそもDXってどういう概念なのかわからない」、といったことがある。色々な人が様々な定義でDXを語っていてDXという言葉の闇鍋状態になっている、というのが日本のDXの現状と言っていい。

本書は、アフターデジタル(デジタルが隅々まで普及した社会)を念頭に、DXの本質を様々な実例を基に語っている。本書のポイントは主に3つある。

1つ目に、事例の多様さと内容の深さがある。DX担当者がインターネットで調べても表面的なDX事例の記事しか得られない事が多いが、本書で紹介されている実例はサービス概要だけではなく、その中身がどうビジネスの観点で優れているのか(どんな顧客体験を生み出しているのか等)といったポイントが整理されている。DXで考えるべきことを事例を通じてしっかり学ぶことができる点が優れている。

2つ目に、よくある誤解やアンチパターンに関する解説(第3章)がある点が挙げられる。例えば、オフラインとオンラインを連携させることは、OMO(Online Merges with Offline)の代表例だと思うかもしれませんが、そこに顧客視点で価値が提供されていなければ意味がない等、DXを実践する方が陥りがちな立脚点の間違いが丁寧に解きほぐされている。実際にアクションを起こす前に、このようなアンチパターンに陥っていないか、考え方の立脚点は間違っていないか考える際の参考になる。

3つ目に、DXをデジタルテクノロジーの視点ではなく、新たな顧客体験(UX:User Experience)を作ること、という視点からまとめられていることが本書の最大の特徴であり、本書の主張するDXの本質である。このDXの本質をついたビジネスをする上で必要な精神(考え方)・ケイパビリティ(能力)が示されている。

日本のDXを担うすべての人にとって一読する価値のある一冊だ。

目次

[まえがき] アフターデジタル社会を作る、UXとDXの旗手へ
第1章 世界中で進むアフターデジタル化
第2章 アフターデジタル型産業構造の生き抜き方
第3章 誤解だらけのアフターデジタル
第4章 UXインテリジェンス 今私たちが持つべき精神とケイパビリティ
第5章 日本企業への処方箋 あるべきOMOとUXインテリジェンス
[あとがき] 待ったなしの変革に向けて

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レビューワー

Toru_Hasegawa

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